家計簿はアプリではなくExcelでつけて自己防衛
かつての私は、お小遣い帳をつける習慣なんてなく、お金はあるだけ使ってしまうタイプでしたが、結婚を機に収入の範囲内でやりくりするために家計簿をつけ始めました。
今はレシートを読み取るだけでデータ化できたり、金融機関と連携できたりする便利な家計簿アプリなどが充実していますが、私はエクセル(Excel、Microsoft社さんの表計算ソフト)で家計簿をつけています。
エクセルなら自分で好きなようにいろいろ設定できて楽しいですし、表計算ソフトなので簡単に計算できてとても便利だからです。
家計簿アプリは、情報が漏れる危険性がゼロではないですし、自分の家計情報をアプリの運営会社で管理されたくないので使っていません。
『キャッシュレス生活、1年やってみた 結局、どうするのが一番いいんですか?』の著者の美崎栄一郎さんによると、家計簿アプリの中にはセキュリティに問題のある方法をとっているものもあるようです。
「スクレイピング」といって、ネットバンキングのIDやパスワードを預かり、本人に代わってシステムにログインするため、それらの情報が漏えいしてしまう可能性があるのです。
でも家計簿アプリは便利なので、どうしても使いたい場合には「API(Application Programming Interface)」という一部の機能に限定して外部から必要な情報だけを利用できるシステムに対応しているアプリを使った方がいいと思います。
家計簿をつけて何にお金をかけているか自己分析
家計簿なんてつけたことがなかった私は、手始めに1か月間ひたすら出ていったお金を項目ごとに分けてエクセルに入力していきました。
住居費(家賃・共益費)、駐車場代、車のローン、ガソリン代、水道光熱費、通信費(ネット、固定・携帯電話)、保険料、食費、日用雑貨費、レジャー代・娯楽費(交通費・外食代含む)、交際費、医療費、小遣い、資格試験の学費など。
そして、1か月分のデータがそろったので、それぞれ合計額を出してみました。
なるほど~。住居費(家賃・共益費)以外で特にお金がかかっているのは、車の維持費(駐車場代・保険・ローン・ガソリン代など)、レジャー代・娯楽費、小遣いか。
貯蓄とレジャー、どちらを優先すべき?
そこで、車を手放したり、外出を控えてレジャー代を減らしたり、お小遣いを減らしたりすれば、かなりのお金を貯蓄に回せそうです。
貯蓄が増えれば、家計に余裕ができて幸せになれそうな気もしますが…
でも、夫も私も大の旅行好き。国内旅行はもちろん、海外旅行にも行きたいですし、春と秋はキャンプやハイキング、夏はサーフィン、冬はスキーやスノボを楽しみたい!
そんな我が家にとって車は必需品なので手放すなんて考えられません。
また、外出を控えてレジャー代を減らしてしまったら、今を楽しめなくなってしまいます。
確かにレジャー代を使い過ぎて全く貯蓄しないのは考えものですが、外食したり遊びに行ったりする頻度を調整して、適度に貯蓄しつつレジャーも楽しむ方が幸せなのではないかと思います。
幸せになるために楽しみを先延ばしすべき?ー「キーネーシス的人生」と老後の楽しみ
今は我慢してお金を貯めて、退職後に時間がたっぷりできたらレジャーを楽しもうと、楽しみを先延ばしする人もいます(実は私も前はそう思っていました)。
でも年をとると若い頃のように体が動かず、行動範囲が限られてしまうので、楽しさが半減してしまいます。
最悪、退職後すぐに亡くなってしまったら、それまで何のために我慢してきたのか分かりません。
世界的ベストセラー『自分のための人生』(ウエイン・W・ダイアーさん著、渡部昇一さん訳)には、次のように書かれています。
六十ぐらいのときに先が心配でため込み、七十になって、自分の周囲でも友達がどんどん死ぬころになって俺も長くないなと悟り、それからスポーツをやろうとか、外国を旅行しようといっても、そのときはすでに異国の街を見て楽しむ能力は若いときの何十分の一になっているし、いわんや年をとれば外国の料理などはまずくて食べられなくなっているということもある。
これなどもやりたいことをむやみに先延ばしする愚かさであって、いい意味の刹那主義ということが必要である。これは、しばしば賢明で堅実な人がおちいりやすい錯信帯である。楽しみの先延ばしで子供のころ成功した記憶、たとえば高校時代にスポーツや何かを犠牲にしていい大学に入った。その喜びに味をしめて、一生楽しみを先延ばしにしたままで消えるという感じの人も少なくないように思われる。
実際、私の両親も70歳あたりから体力が一気に落ちて歩くのが遅くなり、歩き回るのがしんどそうでした。
いま定年は65歳に延長されつつあります。
楽しみにとっておいた旅行に65歳から行き始めても、楽しめるのは5年ほどになってしまったらさみしいですよね。
楽しみを退職後まで取っておくような、人の一生は目的地を目指す一本の線のようなものと考えるキーネーシス的(動的)な人生を、アドラー心理学では「人生における最大の嘘」として否定します。
なぜなら、人生を線のようにとらえると目的地に着くまで人生は常に道半ばで、今は準備期間と考えることになり、人生の先延ばしになってしまうからです。
未来ばかり見て今は我慢の時期だと思って生きてたら、いつまで経っても幸せを感じることはできません。
人生は点の連続(エネルゲイア的人生)であると考え、今ここを真剣に生き充実した時間を過ごすことこそ、いつ死んでも後悔しない幸せな人生なのです。
『キャッシュレス生活、1年やってみた 結局、どうするのが一番いいんですか?』美崎栄一郎さん(2020年 祥伝社さん)
『自分のための人生』ウエイン・W・ダイアーさん、渡部昇一さん訳(2001年 三笠書房さん)
『嫌われる勇気』岸見一郎さん、古賀史健さん(2013年 ダイヤモンド社さん)
『なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか? 3000人のお金相談でわかった「金持ち思考」と「貧乏思考」』北川邦弘さん(2012年 プレジデント社さん)
『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』亀田潤一郎さん(2010年 サンマーク出版さん)
『幸せな小金持ちへの8つのステップ』本田 健さん(2006年 サンマーク出版さん)