貯金とは無縁の借金生活
私はかつて、お金はあるだけ使ってしまう人間でした。
しかも、その「あるだけ」というのは自分のお金だけではありません。
大学生の頃お金が足りないとき、いつも母にお金を借りていました。
自分のバイト代だけでは足りず、母から借金をして、買物したり、海外旅行に行ったりしていたのです。
家事と仕事を両立させながら頑張っている母を横目に、父はよく「なんか借金してる人間(私のことです)の方がいつも楽しそうだな。」と言っていました。
おかしな話ですよね。なんて親不孝な…
そんな私が貯金などできるわけがなく、子どもの頃も一念発起してお金を貯めようと貯金箱を買い、小遣いを全部使ってしまうというアホな子でした(汗)
結婚を機に家計管理を任され自分と向き合う
しかし20代前半、私に転機が訪れました。結婚して家を出ることになったのです。
貯金ゼロの私に、母はたくさんの嫁入り道具を揃えて持たせ、送り出してくれました。
今は亡き母に感謝です(涙)
夫は仕事が忙しいため、結婚後は私が家計を管理することになりました。
私ひとりのお金ではないので、今までのような金銭感覚でいるわけにはいきません。
後先考えずにお金を使ってきた自分と向き合わなくてはならなくなりました。
家計をやりくりするために家計簿をつけることを決意ー自己受容と家計簿
いよいよ新婚生活スタートです。
生活費はどのくらいかかるのかと計算してみると…
こんなにお金がかかるの⁉
ずっと実家暮らしだった私は、なかなか現実を受け入れられませんでした。
家賃(住居費)、光熱費、食費、日用雑貨費、通信費、保険料、車のローン、駐車場代、ガソリン代、服飾費、交際費、医療費、私の学費(資格試験)などなど。
この他にお小遣いやレジャー代(娯楽費)も使ったら貯金なんてできるのかなぁ。
思わず現実逃避したくなりましたが、現実を受け入れ、月々の収入の範囲内で何とかやりくりするため、人生初の家計簿をつけることにしました。
何度挑戦しても小遣い帳すらつけられなかった私が!
夫が一生懸命働いて稼いできてくれるお金なんだから、家計簿をつけてお金の流れをしっかり把握して大切に管理し、お金に困らない生活ができるようになるよう頑張ろう! と決意したのです。
「自己受容」とは、自分の良いところも悪いところも全部ひっくるめて、ありのままの自分を受け入れることです。
家計簿をつけると、自分がどんなふうにお金を使う癖(くせ)があるのか見えてきます。
必要最小限のものだけにお金を「消費」しているのか、ストレス発散や見栄などのために必要以上にお金を「浪費」しているのか、本を買ったり貯蓄したりするなど将来の自分にプラスになることにお金を「投資」しているのか。
自分のお金の使い方の癖が分かったら、まずは「浪費」を極力なくしていきます。
次に、出来る範囲内で健康のために身体に良い食事にお金を使うなど「消費」を「投資」に変えていきます。
すべてのお金を自分のプラスになる「投資」に使えるようになることが理想です。
さらには、他の人や地球環境にプラスになるようお金を使えるようになれば、みんなが幸せになれるのではないかと思います。
借金を当てにして楽しみを先取りしない
いま手元にお金がなくても、借金をすれば欲しいものを手に入れたり、やりたいことができたりします。
かつての私が、母にお金を借りて買い物したり旅行したりしていたように…
でも家を出て自立した以上もう母に頼ることはできませんし、多額の利息を払ってまで、銀行のカードローンやクレジットカードのキャッシングなどでお金を借りたくありません。
借金(少額)をすると平均で、銀行のカードローンなら約15%、クレジットカードのキャッシングなら約18%、クレジットカードのリボ払い(リボルビング払い)なら約15%も金利を払わなければならないのです(2021年現在)。
※ 実際の金利には、例えば0.98~18%など幅がありますが、初めて借りる場合や少額借りる場合は、一番高い金利になることが多いようです。
リボ払いは借金がなかなか減らないので高利息
特にクレジットカードのリボ払い(リボルビング払い)というのが非常に曲者です。
名前は「ボーナス払い」などと似ていますが、れっきとしたローンです。
毎月一定額を返済すればいいので、月々の負担額が明確で見通しが立てやすく、シンプルでわかりやすいと思われがちです。
でも借金を払う期間が長くなりがちな上に、毎月未払残高(残りの借金)に利息がついてしまいます。
月々の返済額から利息が優先的に支払われていくため、月々の返済額に占める利息の割合が高いと、なかなか借金の元本が減らず、知らず知らずのうちに高額の利息を取られてしまうのです。
例えばリボ払いで10万円買い物したとします。
金利を15%とすると、月々の返済額が5千円なら、1回目の返済額の内訳は利息1,274円と元本3,726円になります。
2回目は利息1,227円と元本3,773円…と計算していくと、結局10万円返し終わるまでに24回(2年)もかかり、16,000円くらい利息を取られます。
2年も支払いを待ってくれるなんて有難い! と前向きに考える方もいらっしゃるかもしれません。
でも16,000円あったら、かなりいろんなことに使えると思いませんか。
リボ払いにしなければ、このお金は自由に使えたはずなのです。
いったんリセットして「借りて買う」から「貯めて買う」に切り替える。
それだけで生涯使えるお金が増えるのです。
よくクレジットカード会社がリボ払いを薦めるキャンペーン(ポイントが倍になるなど)をやっていますが、お金を返してくれるのを待っているだけでこんなに儲かるのですから、企業として力を入れるのは当然ですよね。
実は、リボ払いは住宅ローンの元利均等返済(元金と利息の合計額を調整して一定額を毎月返済)と同じ仕組みです。
住宅ローンを組むと、たとえ金利が低くても借入金の元本が多く返済期間が長いので、知らず知らずのうちに利息をたくさん取られてしまうわけです。
時間を買う代償にしては高すぎる借金の利息
今は銀行の定期預金ですら平均で0.01%ほどしか利息がつかないのに、銀行のカードローン(利息約15%)でお金を借りると、その1,500倍(!)も利息を取られます。
正確に言えば、定期預金の利息から20%ほど税金をとられますから、実際には1,500倍では済みません。
例えば、5万円を1年間定期預金(1年複利0.01%)に入れても利息は5円しか付かず税金が1円引かれるため、たったの4円しか増えません(預金などの利息が少ない場合は、税金を免除してくれたらいいのに)。
一方で、5万円を1年間カードローン(年利15%)で借りると、7,500円も利息を取られます。
たとえ借りるのを1か月だけにしても、利息は636円です。
5万円を1年間使わずに預けても4円しか増えないのに、5万円をたった1か月借りただけで636円も利息を取られるのです。
時間を買って、ちょっと楽しみを先取りしたり生活費を払ったりするために15%も利息を払わなければならないなんて高すぎると思いませんか。
借りたお金を運用して15%以上利益を出せる人なら、お金を借りて時間を買う方が得でしょう(相当のプロの投資家でも現在のマイナス金利下で15%以上利益を出すのは難しいと思いますが)。
借金を返して利息を払っても手元にお金が残るのですから。
ただし、投資はあくまで余裕資金でやるのが基本です。十分な貯蓄がないまま借金してまで投資に手を出すのは、かなりリスキーだと思います。
他方で、楽しみを先取りしたり生活費にしたりするための借金は、使って無くなってしまうだけです。
しかも、後で借金にプラスして返さなければならない利息の分は自由に使えず、マイナスからのスタートになってしまいます。
これからどうするか
経済評論家の山崎元さんの著書『お金で損しないシンプルな真実』には次のように書かれています。
借金の返済を、資産運用の観点から考えると、リスクゼロで(=確実に)金利十数%で運用できる機会と同じ価値があります。つまり、借金がある場合、借金の返済以上に合理的な資産運用を行うことは困難なのです。
その理由は、「もともとの借金が不利だったから」にほかなりません。
というわけで、借金をしなくて済むたびに「よし! これで金利15%でお金を運用できたのと同じ。
プロの投資家だってこんなに利益を出すのは難しいんだから!」と自分を励ましながら、家計簿をつけて現状を把握し、収入の範囲内でやりくりしていくことにしました。
『幸せになる勇気』岸見一郎さん、古賀史健さん(2016年 ダイヤモンド社さん)
『幸せな小金持ちへの8つのステップ』本田 健さん(2006年 サンマーク出版さん)
『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』亀田潤一郎さん(2010年 サンマーク出版さん)
『お金で損しないシンプルな真実』山崎 元さん(2018年 朝日新聞出版さん)
『マイナス金利でも、お金はちゃんと増やせます。』大江英樹さん(2016年 KADOKAWAさん)
『老後に破産する人、しない人』中村 宏さん(2014年 KADOKAWAさん)
『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』ジョー・マッケンジーさん、 中島宏明さん監修、 稲垣みどりさん訳(2019年 かんき出版さん)