すべては使うか使わないか。現状を認めてモノを手放すと幸せになれる

身軽なイメージ

モノや洋服を買っては整理して処分する日々

整理(せいり)整頓(せいとん)が得意だった母の影響(えいきょう)で、私も整理(せいり)整頓(せいとん)が大好き。

モノや洋服を買っては、収納用品を駆使(くし)して、きれいに仕舞(しま)っては満足していました。

モノや洋服が増えて収納スペースがなくなってくると、ようやく重い腰を上げて使わないものや着ない洋服を誰かにあげたり捨てたりして処分。

処分したものの中には、一回も着ていない新品の洋服や全く使わなかったファッション雑貨などもたくさんありました。

買い物も収納も手段ではなく目的に⁉

()らないものを処分してスペースができると、性懲(しょうこ)りもなく欲しいものを買い続け…

欲しいものが自分のものになると(うれ)しいし、買い物をしていると本当に楽しい♪

特にお買得品を見つけてゲットできたときの喜びといったら!

しかも、私は食器でも洋服でも何でも一式(いっしき)(そろ)いで買わなければ気が済まないタイプ。

気に入ったブランドなどがあれば、とことんコレクションしてしまいます。

()

本来、買い物は日常生活で必要なものを入手する手段のはずなのに、いま思えば、私にとっては買い物自体が目的になっていました。

必要だから買うのではなく、買うこと自体に幸せを感じていたのです。

そうこうしているうちに、モノは倍々ゲームのように増えていきました。

それでも、収納スペースの範囲内にさえ(おさ)えれば、きちんと収納でき、散らかっているわけではなかったので、あまり問題意識を持つことはありませんでした。

むしろ、大量のモノや洋服などをきれいに収納できればできるほど満足していました(汗)

収納は必要なものを使いやすい状態にするための手段なのに、きれいに収納すること自体が目的になってしまっていたのです。

海外引越を機に自分の所有物と向き合う

しかし、そんな私に大きな転機がやってきました。

夫の仕事の都合で海外赴任(ふにん)することになったのです。

海外引越は大変だと(うわさ)には聞いていましたが、まさかこんなに大変とは…

このとき私は初めて自分が持っているモノたちと向き合うことになりました。

(すべ)ての荷物を海外に持っていくことはできないので、優先順位の高いものだけを厳選して持っていき、その他のものは処分するか日本に置いていかなければならなかったからです。

海外引越のポイントをひとことで言えば、自分が持っているものに優先順位をつけて分けること。もう、これに尽きます!

まず、海外に持っていく荷物は赴任先(ふにんさき)の住宅の収納スペースの範囲内に(おさ)えなければなりません。

赴任先(ふにんさき)の住宅が家具付きの場合には、なるべく現地にあるものは持っていかないようにします。

また、海外引越は国内引越とは比べ物にならないくらいお金がかかります。

いくらでも会社が引越代を負担してくれるなら話は別ですが、そうでない限り、海外に持っていく荷物の量を会社が出してくれる引越代の範囲内におさまるよう調整しなければなりません。

そのため、海外に持っていく荷物を厳選しなければならず、残りは処分するか日本国内に置いていくことになります。

この分類作業が本当に大変なのです。

また、国内引越のように荷物をトラックなどに積み込んで一気にまとめて持っていくことができないので、海外に持っていくものの中でさらに優先順位をつける必要があります。

この優先順位をつける作業で重要なのがイマジネーション、想像力です。

肌身(はだみ)(はな)さず持ち歩きたいものや航空機内で使いたいものは何か、飛行機を降りたらすぐ必要になるものは何か、引越後の早い段階で使いたいものは何か、赴任先に届くまで最悪3か月以上かかってしまっても大丈夫なものは何か…

そして分類が終わったら、日本にいるうちに、船便を出国2~3か月前、航空便を出国3週間~1か月前あたりに、重要度の低いものから順に送っておきます。

もちろん海外に送ってしまったら日本にいる間は使えなくなってしまいます。

そのため、いま使えなくても困らないかを再度しっかり考えてから慎重に荷物を送らなければならず、この作業が本当に本当に大変でした。

いよいよ出国の日は、引越し先ですぐ必要になる順に、航空機内に持ち込む手荷物、航空会社に預けて運んでもらう荷物(受託(じゅたく)手荷物)などを持って空港に向かいます。

ちなみに日本航空(JAL)さんのJALファミリークラブに入会すると、受託手荷物を一人2個まで無料で追加して持って行いくことができ、非常に有難(ありがた)かったです。

大量の使わないものを管理していた自分に気づく

海外に持っていく荷物は、もちろん自分がいま使っていて必要なものです。

そこで、自分が持っているものを「使っているか、使っていないか」という基準(きじゅん)で分けてみました。すると…

明らかに使っていないものや、今後使うかもというグレーなものが山ほど出てきました。

それらは、自分で買ったものもあれば、もらったものもあります。

私は今までこんなに大量の使わないものも、使うものと一緒に一生懸命きれいにしまって管理して満足していたのかと愕然(がくぜん)としました。

過去の失敗や現実から目を背け現実逃避していた

どうして私はこんなに使わないものを捨てずに持っていたんだろう。

自分と向き合ってみました。

まず、自分で買ったものは、欲しいと思って買ったのに()心地(ごこち)が良くなくて着ない服、奮発(ふんぱつ)して買ったのに足に合わなくて一度しか()いていない高価な靴など。

買った直後に失敗したと分かっていたのに、着られないわけじゃないし、高かったからと、捨てずに過去の失敗から目を背けていました。

買ったときは気に入ってよく使っていたものの、もう使わなくなってしまったアクセサリー類や化粧品などは、小さくて場所を取らないので、捨てることもないかと使わないのに見て見ぬふりをして現実逃避…

他にも、お買い得だと思って買ったのに使わないブランドバッグなどのファッション雑貨、使えると思って色違いで(そろ)えたのに着ない服など。

買ってから何年も仕舞(しま)い込んだままなのに「いつか使うかも」と捨てずにいました。

その「いつか」は来ないと薄々(うすうす)気づいていたにもかかわらず…

さらには、使っていない英会話教材や、()せたら着ようと思って買ったのに着ていない服など。

ペラペラ流暢(りゅうちょう)に英語を話す自分や、スリムになって洋服をカッコよく着こなしている自分をイメージして持っていました。

いつか使おうと、理想の自分に固執(こしつ)して捨てられなかったのです。

もらったけど使っていないものはというと、何かのおまけでついてきたメモ帳などの雑貨類、結婚式の引き出物でもらった食器類、誕生日祝いにもらったファッション雑貨などなど。

タダでもらったものは、もともと必要なかったのに「いつか使うかも」と捨てず、人からもらったものは、くれた人に申し訳なくて捨てられず…

結局なぜ私は使わないものを捨てずに持っていたのか。

私は、買った時点で失敗だった過去や、使っていないという現在から目を背け、いつか使うかもという不確実な未来に現実逃避して可能性の中で生きようとしていました。

そう、私は今を真剣に丁寧に生きていなかったのです。

買物は、ほんのひと時の幸せでしかないー変われないのは「幸せになる勇気」が足りていないから

いま思えば、私は買い物をして(つか)の間の幸せを得ることで、思い通りにならない自分の人生に対する不満を(まぎ)らわせようとしていた気がします。

不快(ふかい)な気持ちを買い物という快楽で打ち消そうとしていただけだったのです。

理想の自分に近づくためには時間をかけて地道に努力し続けなければなりません。

でも買い物は、買った瞬間に自分のものになり結果がすぐに出ます。

だから、私はモノを買うという(らく)な方に流れてしまったのです。

でもモノを買うことで得られる幸せは、長くは続きません。

むしろ、買えば買うほどお金がなくなり、使わないものを管理するために時間も労力も気力も(うば)われていきます。

モノを管理していたつもりが、私がモノに支配されていたのです!

幸せになりたいと思って買物していたのに、わざわざ自分で問題を増やしていました。

変われないのは「幸せになる勇気」が足りていないから
幸せになるために―自分軸を見つけるヒント」という記事や「ライフスタイル(世界の見方)を変えれば心が穏やかになり幸せになれる」という記事にも書きましたが、アドラー心理学では、性格なども含めて自分や世界への意味づけをライフスタイルという言葉で説明します。

そして、人が変われないのは、自分自身が「変わらない」と決心し続けているからで、新しいライフスタイルを選ぶ勇気(幸せになる勇気)が足りていないのです。

ではどうしたらライフスタイルを変えられるのかというと、まずは「今のライフスタイルをやめる」と決心する必要があります。

私の場合、英会話教材を活用して英語をペラペラ話せるようになれば幸せになれるかも…と思いつつ、十分な時間さえあれば教材を活用できるのにと、使わない英会話教材を捨てられずに持っていました。

私だって時間があればできる、自分にはその能力があるんだというライフスタイルにしがみついて、可能性の中に生きようとしていたのです。

でも可能性の中に生きようとしていては前に進めませんし、変われません。

可能性の中に生きようとする「今のライフスタイルをやめる」と決心し、一日5分でも10分でもいいから教材を使っていくべきなのです。

教材を買っただけで安心していてはダメなのです。

 

所有欲・購入欲の強い人は全般的に満足度が低い

編集者の菅付(すがつけ)雅信さんの『物欲なき世界』には、次のように書かれています。

心理学者の大石繁宏氏はさまざまな「幸せ」にまつわる調査結果を俯瞰(ふかん)して語る。
「いずれにしても、お金と幸福感の相関関係は、一般的に過大評価されているようである。」
さらに、消費欲と幸せの関係についてまとめる。「所有欲・購入欲の強い人は、全般的に満足度が低いという結果も出ており、必要以上のものを求めることで幸福感を向上させることは難しいようである。

この所有欲・購入欲の強い人って私のことじゃん!

必要以上にものを求めると、幸せになるどころか、満足度が低くなるなんて本当にその通り。

断捨離(だんしゃり)したら身も心も軽くなった!

よし! 使っていないものを処分して身軽(みがる)になるぞ!

すべての不用品を処分することはできませんでしたが、日本出国ギリギリまで、使わないものを必要としている人にあげたり、リサイクルショップで売ったり、粗大ゴミとして出したりして処分しました。

現実逃避していた自分と向き合い、現実を受け入れて使っていないものを処分したら、モノが減って身軽(みがる)になっただけでなく、心まで軽くなりました。

そういえば、旅行は荷物を少なくして身軽(みがる)に行動した方がアクティブになれて楽しいですよね。

なんだか不思議と何でもできそうな気がしてきました。

これからどうするか

そんなわけで、今後も使わないモノを処分していき、自分にとって本当に必要なものや大切なものだけで生活するシンプルライフを目指すことにしました。

使わないモノの購入や管理にとられていた時間やお金、労力、気力を、自分が本当にやりたいことに使って幸せに生きるために…

参考文献
『一番わかりやすい整理入門 第3版』澤 一良さん、ハウスキーピング協会さん監修(2007年 ハウジングエージェンシーさん)
『1週間で8割捨てる技術』筆子さん(2016年 メディアファクトリーさん)
『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』佐々木典士さん(2015年 ワニブックスさん)
『物欲なき世界』菅付雅信さん(2015年 平凡社さん)
『幸福途上国ニッポン』目崎雅昭さん(2011年 アスペクトさん)
『嫌われる勇気』岸見一郎さん、古賀史健さん(2013年 ダイヤモンド社さん)
『幸せになる勇気』岸見一郎さん、古賀史健さん(2016年 ダイヤモンド社さん)
『「幸せ」について知っておきたい5つのこと』NHK「幸福学」白熱教室制作班さん(2014年 中経出版さん)
『生きづらい時代の幸福論 9人の偉大な心理学者の教え』諸富祥彦さん(2009年 KADOKAWAさん)
『断捨離アンになろう!モノを捨てれば福がくる』鈴木淳子さん著, 川畑のぶこさん原案・監修(2010年 ディスカヴァー・トゥエンティワンさん)
『もっと断捨離アンになろう!モノを捨てて自分をリセット!』鈴木淳子さん著、川畑のぶこさん原案・監修(2011年 ディスカヴァー・トゥエンティワンさん)