捨てられない本は自炊すれば処分でき、いつでもどこでも読めて幸せ♪―前編

スマホで読書

どうしても捨てられない大量の本は「自炊」して電子書斎へ

私は今まで整理法や断捨離の本を数十冊は読みましたが、それらの中には「本は捨てましょう」と書いてあるものが結構(けっこう)ありました。

でも本というのは不思議なもので、読むたびに新たな発見があります。

それは自分が成長している証拠でもあると思いますし、そのときそのときの自分が本に求めているものが違うので、本は一度読んだら捨ててしまっていいというものではないと思うのです。

今後も全く読む気のない積読本(つんどくぼん)は処分すべきですが、また読みたいと思う本は残していいのではないでしょうか。

ただ私の場合は残したい本の量があまりにも多かったので、科学ジャーナリストの皆神龍太郎さんの著書『iPadでつくる「究極の電子書斎」』を読み、本の「自炊」を考え始めました。

皆神龍太郎さんは8年かけて蔵書1万冊(!)をデジタル化したそうで、この本は非常に参考になりました。

「自炊」とは、自分が持っている紙の本をスキャンして電子化することをいいます。

日本で初めてiPadが発売された当時(2010年)は、iPadを活用しようにも日本語の電子書籍のコンテンツがあまり充実していませんでした。

そこで、それなら自分が紙で持っている本をスキャナーで電子データにしてiPadに入れて読もう!という読書家が増え始めたのです。

自分が持っている紙の本を材料にして電子書籍を作るから「自炊」というわけです。

でも私は大事な本を傷つけたくなかったので、背表紙を切って本を分解してスキャンすることに抵抗があり、本の「自炊」に踏み切るまで5年くらいかかりました。

今は日本語コンテンツも充実しているので基本的に電子書籍を買っていますが、紙の手触りや閲覧(えつらん)性の高さも捨てがたく、古本など紙の本しか売ってない時はもちろんのこと、複数のページを見渡しながら読みたい本などは、今でも()えて紙の本を買っています。

本を電子化する前に蔵書リストを作っておくと何かと便利

さて、我が家で大きなスペースを占拠していた本たち。

あまりの本の多さに思わず足がすくんでしまいましたが、まずは蔵書リストを作って全体を把握してみました。

量があまりにも多いと気が遠くなりますが、リスト化して全体量を把握すると先が見えてきて電子化しやすくなります。

自分はどんな本をどのくらい持っているのか分かると自分が見えてきますし、小分けにして計画的に優先順位の高いものから電子化していけるので一石二鳥です。

数えてみたら、大型本棚2台分で1000冊ほどありました。

恥ずかしながら数千冊はあるんじゃないかと自負(じふ)していましたが、実際にはその半分以下しかありませんでした(汗)

表計算ソフトのエクセルで蔵書リストを作りましたが、これはかなり面倒な作業です。

でも、スキャンした本のPDFファイルにタイトルを付けるときに、蔵書リストからそのまま本のタイトルなどをコピペ(コピー&ペースト)すればいいので便利ですし、電子化が終わった本にチェックを入れておけば、どこまで電子化できたかを把握しやすいので、後で大いに役立ちました。

ちなみに蔵書リストには、本のタイトルの他に、著者名、出版社名、発行年月日、ジャンル名なども入力しておくと便利です。

電子化した本のPDFファイルに名前を付けるときに、それらを分類したい項目から順にコピーして貼り付けておけば、PCやPDF閲覧用ソフトにデータを保存したときに自動でファイルが分類されて整理できます。

例えば、ジャンルごとに分類し、その中でさらに古い順に本を並べたい場合は、ファイル名の先頭に「家事・整理法」などのジャンル名、その次に「20210721」などの発行年月日を入れておけば、ファイルがどんどん増えていっても、自動的に同じジャンルの「家事・整理法」に関する本が古い順に並び、常にきれいに整理された状態をキープできます。

またスマホやタブレットなどに入れた本を探すとき、本のタイトルを忘れてしまっても、本のタイトルの一部や著者名などでキーワード検索して本を見つけることができます。

本を電子化するメリット

まず何と言っても、本を電子化して、そのデータをPCやスマホ、タブレットなどのガジェットに保存しておけば、いつでもどこでも読めます。

ガジェットのバッテリーさえあれば、1000冊もの本が場所をとらずにいつでもどこでも読めるなんて、紙の本では絶対にできません。

また、いつでもどこでも読めるという安心感から、電子化すると本を捨てやすくなります。

私も大量の本を処分できたおかげで、書斎の壁を占拠していた大型本棚2台を処分でき、書斎がいらなくなりました。

その後に引っ越した先では書斎の代わりに広いダイニングスペースを確保でき、家の中がますます快適になって良いこと尽くめです。

また、大量の本や本棚を処分することは災害対策にもなります。

地震で本棚が倒れてきて大量の本の下敷きになって亡くなってしまった被災者の話をニュースで知り、私もこの大量の本を何とかしなくては…といつも心のどこかで引っかかっていたので、本を処分したことで心も軽くなりました。

さらには、小さなことですが、黄ばんだ古い本は電子化すると味が出て、宝物の地図のようなイイ感じになって新たな愛着が()きますし、汚れてしまった本はスキャンしてしまえばキレイに保存でき、汚れた部分を直接触らずに読むことができます。

裁断機で背表紙を切って本をバラしておくとスムーズにスキャンできる

いよいよ電子化作業に入りますが、まずスキャンする前の準備として、本の背表紙を切って本をバラバラにしておきます。

私の蔵書には厚手のハードカバーがついた分厚(ぶあつ)い本が多かったので、一度に400枚切れる大型裁断機を使いました。

本を裁断機にセットしてレバーを下げるだけで、力のない女性でも簡単に切ることができ、とても便利です。

ちなみに、これは大型裁断機に付いていた説明書の一部ですが、「汚れの拭き取り」の説明の冒頭部分が面白かったので()せてみました。

どうも()()みで「ティッシュ」という言葉がなかなか出てこなかったようです(?)

それはさておき、この大型裁断機は大きくてかさばりますし、重さが17キロもあって持ち運びが大変です。

分厚(ぶあつ)い本を電子化する必要がない場合は、もっと軽くてコンパクトなものを使った方がいいと思います。

後編へ続く…

参考文献
『iPadでつくる「究極の電子書斎」』皆神龍太郎さん(2010年 講談社さん)
『iPhone情報整理術-あなたを情報”強者”に変える57の活用法!』堀 正岳さん、佐々木正悟さん(2009年 技術評論社さん)
『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』佐々木典士さん(2015年 ワニブックスさん)
『モノ・人・お金 自分整理のすすめ』阿部絢子さん(2014年 中経出版さん)
『断捨離アンになろう!モノを捨てれば福がくる』鈴木淳子さん著、川畑のぶこさん原案・監修(2010年 ディスカヴァー・トゥエンティワンさん)
『もっと断捨離アンになろう!モノを捨てて自分をリセット!』鈴木淳子さん著、川畑のぶこさん原案・監修(2011年 ディスカヴァー・トゥエンティワンさん)